今年は北海道の名物・秋鮭が不漁というニュースを観た。猛暑の基準を更新したであろうこの夏の影響か?鮭に手が届きにくくなるのも辛いが、いよいよ地球も心配になってくる。
そんな中で思い出したのが、北海道の新千歳にある鮭水族館。空港から電車で数駅、駅から徒歩で20分ほどのところに位置している。
鮭の水族館には数種類の鮭はもちろんが展示されているが、とくにインパクトがあり色々な意味で面白いのは“水中観察ゾーン”。隣を流れる千歳川のリアルな水中を覗くことができる。私が訪れたのは11月。運良く鮭の産卵時期に巡りあい、自然界でたくましく生きる野生の鮭を拝めた。
水族館の水槽にいる、小綺麗で時間の停止したような空間にいる鮭とは比べ物にならないほど泥臭く、荒々しく、気高く、美しい。思わず見入ってしまったのである。
水族館を出て千歳川を眺めると、川の一面を覆いつくす大量の鮭の群れを見ることができる。こんな大量の鮭がいて、あぶれ者も出るはずだろうと思い川の周辺に目をやると、たくさんいるではないか。勢いあまって上陸してしまったがゆえに命を散らした鮭たちが。
産卵を終えた鮭はほとんどの場合死んでしまうらしい。まさに命懸けのイベント…というか命を紡ぐために、死へ向って大行進しているようなもの。そう思うと、うっかり上陸死してしまった鮭たちは志半ばだったのかと、少し感傷的になる。
鮭たちが川でこんな死闘を繰り広げる中、傍観する我々人間たち。だが、その光景を見て鮭の生き様に感服すると同時に、生命の神秘について改めて考えたのは私だけではないはずだ。
その頃に比べると、今年の千歳川はだいぶ大人しくなるのだろうか。密度が減るぶん、おしくらまんじゅうに負けた鮭が命を落とすことはないのだろうか。
そんなことを考えながら、ふと北海道に行きたいと思うわけです。